部活動報告会 vol.3 ニッポニア・ニッポン full ver.

2004 11.27~28 神楽坂セッションハウス(「育てて、外へ」プロジェクト)
構成・演出:遠田誠
振付・出演:伊豆牧子、江戸川卍丸、太田博久、斉藤栄治、長井江里奈、中森下真樹菜、遠田誠
演奏:小川将義
照明:若尾美穂
音響:相原美紀
舞台監督:野沢美和子
宣伝美術:太田博久
宣伝写真:石川健次郎
衣装:CLOCKWORKs
制作協力:Hiwood
企画・制作:セッションハウス企画室、まことクラヴ

【ニッポニア・ニッポン】=トキの学名。特別天然記念物並びに国際保護鳥。日本固有種は2003年に絶滅。世界的にもEndangerd(絶滅危惧種)に指定されている。


 2004年夏に京都/東京で催されたWe Love Dance Festival.その一環である『ユーモア in ダンス 東西バトル』への参加が決まり、劇場平面図をボンヤリ眺めながらふと気付いた事があった。そういや我々はこれまでプロセニアム~額縁があって客席とアクティング・エリアとがきっかり線引きされた、つまりはフツウの舞台~で公演をしたためしが無いじゃない!?という事実。しかし「劇場を捨てよ街へ出よう」と言わんばかりに屋外を活動の第一歩に選んだ者にとって、むしろそれは当然の成り行きだったのだ。野生のイキモノのよう手に負えぬ公共空間及び非劇場空間へ真っ向勝負を挑んでは、時に噛み付かれ、時に捻じ伏せてきた部活稼業の果てに再び巡り合ったガクブチ。果たして我々はプロセに囲われて何をすべきなのか?しちゃって良いのか?基本コンセプトに反するのでは?ならばいっそケツ巻いて敵前逃亡??そこら辺の態度をはっきりさせるべく、私は単身街へ出た。
 「作品の足掛かり」その探索には毎度最も苦労させられるのだが、そもそも論的な命題を抱えた今回は、行き詰まり感も5割増し。そんな時の常で、何かしらヒントを街に求めて昨日は王子、今日は中野、明日は大森と、もはや何を探しているのか自分でも分からないまま、メクラ滅法に東京中を徘徊した。閉店時間で喫茶店を追い出され、深夜のファミレスでウェートレスに疎まれながら、呪文のように自らに問い正すはレーゾンデートル=存在理由…
 「人の行動を行為と無為とに大別してみる…」とは、当クラブ結成当時に書いたコンセプト・ノートの出だしだが、人はこの行為と無為の配分をギヤ一本で操りながら、逐一態度を決定して進むイキモノなのではなかろうか。個々のギアは前後にしか働かない為、人一人ではフラットな態度に陥りがちだが、他者と対峙し関係する事により、その軌跡は初めて立体化してくる。向かい合った人と人との間に、行為と無為のブレンドでこしらえたヤグラのような仮組みのコミュニケーションが立ち上がるのだ。立ち上がるのだが、単語レベルから認識のズレた他人同士である以上、そのヤグラは絶えず揺らぎ、ギシギシと不穏なノイズを発し続けている。
 その不協和音の正体とは、結局どんなに掘り下げたところで真の相互理解に至る事のないコミュニケーションが、自らを憂いて上げる鳴き声なのだろうか?
 そういった、謂わばどーでもいいゴタクの粉末をせっせとかき集めては水で溶き、振付の型に流し込んで奇妙な味わいのするケーキを焼き上げるのが私の仕事なのだが、その貧乏臭い律儀さには何だかとても日本的なものを感じる。それはワビサビとか称して、苔生した灯篭と一緒に落ち着きの良い庭園なんぞに片付けてしまっては元も子もない。もっと瑣末で役に立たず、けれども(だからこそ?)拾い上げずにはいられないガラクタのロマンは、アミューズメントやらイリュージョンやらテーマパークといった、圧倒的にきらびやかで大味な外来種に駆逐され、いともあっさりと絶滅の道を辿るのだろう。もぅ滅ぶ滅ばない以前に、目の前に転がっていたとしてもそれと気付くか怪しい程、かそけき存在であろう事よ。自然淘汰の追跡を逃れ、コッソリ保護・育成した幾つかのシーンを携えて、我々はガクブチに望んだ。
人工飼育の是非(成否)に関しては、色々とご意見もおありでしょうが。

Copyright © 2012 Makotocluv. All Rights Reserved.